先月、北欧に行ってきました。
目的は、アスプルンドとアアルトの建築を体感することでしたが、今回、僕が一番グッときた建築は、フィンランドのトゥルクで見たブリュックマン設計の「復活の礼拝堂」でした。



生涯、故郷のこの地で設計活動を続けた建築家です。7歳年下で、ユバスキュラ、トゥルク、ヘルシンキ、アメリカとより華やかな地に活動の場を移し世界的になっていったアアルトとは対照的で、その生き方にも強く惹かれました。ブリュックマンは、この街でローカルアーキテクトとして1955年に一生を終えました。図面に描かれる樹木の表現を大切にし、異常なまでに細部へのこだわりがあったそうです。建築の用途や周辺環境を注意深く読み取る手法、スケール感とプロポーションに深く共感しました。
この教会は、やや小高い丘にフィンランド特有と思われる澄んだ水平方向からの光を受けて、静寂の中に一見素っ気ない外観を見せて建っていました 。
ロマンチックで古典主義的、優しく淡い色合いの素材たち、ヴォールトの天井の礼拝堂は片側にのみ列柱と横長の大きな窓を配し、席のレイアウトは正面に対して斜めに振り、光と祭壇のほうに向いています。
アシメトリーな空間構成、清楚でなんとも幽玄、アールヌーボー調の控えめな装飾・・・・・・透明な光と影の静かな共鳴。
・・・・・・・・・いつのまにか癒されている自分がいました。
