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高野保光のコラム


by u-kuukan
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13年振りの再会

車庫を増築したいとのご要望があり、13年前に建てたお住まいにお邪魔してきました。

当時お住まいだったご両親は現在海外で生活をされており、今は息子さんご夫婦が暮らしています。久しぶりの再会にドキドキ、ワクワクしながら現地に向かいました。まずは、車庫を造るため、外回りを確認、庭との距離、塀などを採寸して、大まかな提案をしました。

13年振りの再会_f0012852_18211595.jpg一通りお話を伺って室内に入ってびっくり。
竣工当時の美しい空間は保たれ、さらに味わいを増していました。手入れの行き届いた室内、時の流れを刻み込んだムクの床や左官の壁が、より味わいを増していました。
若いお二人にも、「居心地が良くて、とても気に入っています!!」とお褒めの言葉をいただきました。
嬉しくて胸が熱くなっているところに、海外で生活されているご主人から息子さんに電話があり、僕と話がしたいと言っている・・・・・・というので、iPhoneを受け取った。


「高野さんの意図を大切に住んできました。木部を一部塗り替える際も、できるだけ竣工時の色を出すように塗装屋さんにいったんだけど、なかなか難しくてね・・・・・どう思いますこの色、大丈夫でしたか・・・・・」
と、電話の向こうでは、設計中の打ち合わせを思い出させる温かい声が聞こえてきます。
僕はただただ、「いやいや全然良いですヨ!ありがとうございます。奇麗に使っていただいてホント感激しています、いや、素晴らしいです。」というわけのわからない受け答えをして電話を切り、お二人にお礼を言って帰路につきました。

高速に乗りしばらくハンドルを握っていると、恥ずかしながらじんわりと涙がにじんできて、なんとも言葉にできないのですが心が優しく満ち足りた気持ちになったのです。

建物は作って半分、育てて半分
数寄屋建築で名高い中村外二工務店の二代目棟梁の言葉です。
僕たちの仕事は、家を作って引き渡して終わります。
その後、日々お掃除やお手入れをして大切に家を使う事が、家を良くしていくことであるという
教えなのですか、現代の忙しい世の中でそれを実践するのはなかなか難しいものです。

13年振りの再会_f0012852_18271582.jpgでも、今日はそんなお宅を訪問することができました。



住まいに対する建て主ご家族の深い、
それでいてスマートな暮らしと愛に感謝!!
by u-kuukan | 2013-05-11 16:48 | 仕事